給与等支給額の総額が増加した場合の節税方法です!!

ポイント

税額控除額の計算は「国内雇用者」への給与等支給額をもとに計算しますが、適用要件の判定には「継続雇用者」への給与等支給額をもとに判定します。

税額控除額の計算

国内雇用者に支払った給与等の総額について、適用年度において前事業年度から増加した金額の15%を税額控除する制度を租税特別措置法で定めています。継続して雇用する社員の賃上げを目的とした制度です。

中小企業者等向けの税額控除制度(措法10の5の4②、42の12の5②)

税額控除限度額 =(雇用者等給与支給額 - 比較雇用者等給与支給額)× 15%

※調整前法人税額(個人事業主は調整前所得税額×20%が限度額)

● 国内雇用者:法人又は個人事業主の使用人のうち、その法人又は個人事業主の国内に所在する事業所につき作成された賃金台帳記載された者を指します。パート、アルバイト、日雇い労働者を含み、役員(使用人兼務役員を含む)及び役員の特殊関係者、個人事業主と特殊関係者は含みません。

● 雇用者給与等支給額:適用年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額です。

● 比較雇用者給与等支給額:前事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額です。

適用要件

継続雇用者給与等支給額が継続雇用者比較給与等支給額と比べて1.5%以上増加していること

● 継続雇用者:以下の全てを満たす者を指します。

  1. 前事業年度及び適用年度の全ての月分の給与等の支給を受けた国内雇用者である
  2. 前事業年度及び適用年度の全ての期間において雇用保険の一般被保険者である
  3. 前事業年度及び適用年度の全て又は一部の期間において高年齢者雇用安定法に定める継続雇用制度の対象になっていない

● 継続雇用者給与等支給額:継続雇用者に対する適用年度の給与等の支給額です。

● 継続雇用者比較給与等支給額:継続雇用者に対する前事業年度の給与等の支給額です。

適用対象期間

● 中小企業者は平成30年4月1日から新元号3年3月31日までに開始する事業年度

● 個人事業主については平成31年分から

用語の定義

● 中小企業者等とは : 資本金、出資金の額が1億円以下の法人で、発行済株式、出資の総数・総額の一定割合(1つの法人で50%、複数法人で3分の2)以上を大規模法人(資本金1億円超等の法人)に所有されていない法人、及び資本・出資を有しない法人又は個人で常時使用する従業員数が1,000人以下の者をいいます。

● 国内雇用者とは : 法人又は個人事業者の使用人のうち国内の事業所につき作成した賃金台帳に記載している者を指します。パート、アルバイト、日雇い労働者も含めますが、使用人兼務役員を含む役員、役員の特殊関係者、個人事業主と特殊の関係のある者は含みません。

● 給与等とは : 所得税法の給与所得に該当する給与です。退職金や委託費等の報酬は含みません。原則として非課税通勤費は含みませんが、毎期継続して賃金台帳に計上し、合理的な方法で国内雇用者への給与等の支給額を計算している場合にはその計算も認められます。
※ 未払給与は含みますが、前払給与は含みません。

特例の上乗せ措置の適用について

給与等の増加額の25%を税額控除します。本則より10%上乗せします

適用を満たす場合の税額控除額の計算は次の通りです。

税額控除限度額 =(雇用者等給与支給額 - 比較雇用者等給与支給額)× 15%

※調整前法人税額(個人事業主は調整前所得税額×20%が限度額)

● 適用要件 : 次のAとBの両方の要件を満たす事が必要です

A.継続雇用者給与等支給額が継続雇用者比較給与等支給額と比べて2.5%以上増加していること

B.次の1又は2の何れかを満たすこと

  1. 適用年度における教育訓練費の額が前事業年度における教育訓練費の額と比べて10%以上増加していること
  2. 適用年度終了の日までに中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けており、経営力向上計画に基づき経営力向上が確実に行われたことにつき証明がされていること

● 教育訓練費とは : 国内雇用者の職務に必要な技術又は知識を習得させ、又は向上させるために支出する費用で一定のもののうち、所得の金額の計算上損金に算入されるものを指します。対象になる教育訓練については、詳細に定めています。

● 経営力向上計画 : 中小企業等経営強化法第13条第1項に規定する経営力向上計画を指します。

● 経営力向上が確実に行われたこと : 中小企業等経営強化法第2条第10項に規定する経営力向上が確実に行われたことを指します。

以上のような要件の基で適用が可能ですので、是非ご検討下さい。