「ふるさと納税」とは?

● ふるさと納税は、自治体に寄附をした場合に自治体以外に寄附をする場合の控除に加えて特別な控除が受けられます。

● 税金の控除を受けるためには、原則として確定申告が必要です。なお、平成27年4月1日から「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が始まっています。

「ふるさと納税」とは、自分の選んだ自治体に寄附「ふるさと納税」を行った場合に、寄附額の内2,000円超の部分について、原則として所得税と住民税から全額控除する制度です(一定の上限はあります。)。例えば、年収700万円の給与所得者の扶養家族が配偶者だけの場合、30,000円のふるさと納税を行うと、2,000円を超える部分である28,000円(30,000円-2,000円)を所得税と住民税から控除出来ます。(設例問題後記)

Ⅰ 寄附金控除(個人所得税)

寄附金控除額(所得控除)の計算

(下記の1及び2の何れか低い方の金額 - 2,000円)×所得税率

  1. 国等に対する特定寄附金の支出金額
  2. 合計所得金額×40%

※ 特定寄附金 … 国又は地方公共団体に対する寄附金、民法上の公益法人等に対する指定寄附金、特定公益増進法人に対する寄附金、認定特定非営利活動法人(NPO法人)に対する寄附金

※ 平成49年中の寄附までは、所得税率に復興特別所得税の税率(+2.1%)を加えます。

寄附金控除(税額控除)の計算

平成31年12月31日までに行った政治活動等に関する一定の寄附金の内、政党・政治資金団体に対する政治活動に関する寄附金で、政治資金規正法第12条又は第17条による報告がされているもの。

(下記の1及び2の何れか低い方の金額 - 2,000円 - 特定寄附金※)×30%

  1. 政党等に対する寄附金
  2. 総所得金額等×40%

※ この特定寄附金については、政党等に対する寄附金は除きます。

Ⅱ 寄附金税額控除額(個人住民税)

寄附金税額控除の対象寄附

● 都道府県・市区町村に対する寄附金(ふるさと寄附金)

● 住所地の都道府県共同募金会・日本赤十字社支部に対する寄附金

● 国の控除対象寄附金のうち、都道府県・市区町村が条例で指定する寄附金
※ 「国に対する寄附金」及び「政党等に対する政治活動に関する寄附金」を除く

● 認定NPO法人以外のNPO法人に対する寄附金で、条例で個別に指定する寄附

税額控除額

税額控除額=住民税の基本控除額+住民税の特例控除額

1. 基本控除額

基本控除額 = (寄附金(※1)-2,000円)×10%(※2)
※1 控除の対象になる寄附金合計額は、総所得金額等の30%が限度額です。
※2 条例で指定する寄附金の場合は、次の率(都道府県税4%、市区町村税6%)により算出

2. 特例控除額(これが「ふるさと納税」です。)

都道府県・市区町村へ寄附(ふるさと納税)する場合は特例控除額が加算されます。

特例控除額 = (寄附金-2,000円) × (100%-10%-所得税率×1.021)

※特例控除額はふるさと寄附金だけに適用され、個人住民税所得割額の2割を限度
※個人住民税の控除は、寄附をした翌年度の個人住民税から控除

控除額の計算(ふるさと納税)

控除額の計算(ふるさと納税)

1. 所得税からの控除額は、次の計算式で決まります

所得税からの控除額 = (ふるさと寄附額-2,000円)×「所得税の税率」

※ 控除の対象になるふるさと寄附額は、総所得金額等の40%が上限です。
※ 所得税の税率は、超過累進税率を適用し、復興所得税として2.1%加算します。

所得税率は(復興所得税「税率×102.1%」を加えます。)下記の通りです。

※ 表のはみ出した部分はスクロールしてご覧ください。

課税する所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え 4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

◆住民税からの控除には「基本分」と「特例分」があります。

2. 住民税からの控除「基本分」の計算式

住民税からの控除額(基本分) =(ふるさと寄附額-2,000円)×10%

なお、控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額などの30%が上限です。

3. 住民税からの控除「特例分」の計算式

住民税からの控除分(特例分)=(ふるさと寄附額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の限界税率×102.1%)

※ 平成27年度税制改正で特例控除額の限度額が所得割額の2割に引き上げられています。

4. 住民税からの控除(特例分その2)

住民税からの控除分(特例分その2)=(住民税所得割額)×20%

※ 特例分(1で計算した場合の特例分)が住民税所得割額の2割を超える場合は、この計算式になります。この場合、1、2及び3の3つの控除を合計しても(ふるさと寄附額-2,000円)の全額を控除出来ないので、実質負担額は2,000円を超えます。

参考:住民税の「ワンストップ特例制度」

ふるさと納税の控除には、「確定申告」の他に「ワンストップ特例制度」があります。
なお、ワンストップ特例制度の適用には条件があります。

  1. 所得税の確定申告書の提出を要しない者であること
  2. 寄附金控除以外に住民税の申告書の提出を要しない者であること
  3. ワンストップ特例制度の申請先が5団体以下であること
  4. 寄附を行う都度に申請の手続きを行うこと
  5. 申請期限は、ふるさと納税を行った翌年の1月10日(必着)

※ 所得税の確定申告は年1回ですが、ワンストップ特例制度は寄附の都度に申請の手続きが必要です。
※ 所得税の確定申告は要しないので、所得税で控除出来る額も含めて住民税を軽減します。

【参考資料】寄付金限度額をXとした場合の限度額(最適効果寄付額)の計算表

※ 表のはみ出した部分はスクロールしてご覧ください。

所得税の課税所得額 所得税率 寄附金限度額 Xを求める計算式
~195万円以下 5% X=個人住民税所得割額×23.558%+2千円
195万円超~330万円以下 10% X=個人住民税所得割額×25.065%+2千円
330万円超~695万円以下 20% X=個人住民税所得割額×28.743%+2千円
695万円超~900万円以下 23% X=個人住民税所得割額×30.067%+2千円
900万円超~1,800万円以下 33% X=個人住民税所得割額×35.519%+2千円
1,800万円超~4,000万円以下 40% X=個人住民税所得割額×40.683%+2千円
4,000万円超~ 45% X=個人住民税所得割額×45.397%+2千円

設例

給与収入1,000万円、扶養親族(配偶者、一般扶養控除2人)、社会保険料100万円のケースで、50万円のふるさと納税を実行した場合の、所得税と住民税の控除額を計算して下さい。

★ 設例の解答

※ 表のはみ出した部分はスクロールしてご覧ください。

項目 所得税 住民税 備考
給与収入額 10,000,000 10,000,000  
給与所得控除額 2,200,000 2,200,000  
合計所得金額 7,800,000 7,800,000  
所得控除合計額 3,018,000 2,320,000  
寄附金控除 498,000 合計所得金額の40%が限度額
社会保険料控除 1,000,000 1,000,000  
一般扶養控除 760,000 660,000 一般扶養親族2人
配偶者控除 380,000 330,000  
基礎控除 380,000 330,000  
課税所得金額 4,782,000 5,480,000 住民税は所得割額
所得税額・住民税額 528,900 548,000 所得税:累進税率、住民税:10%
復興所得税額 11,106  
所得税・復興所得税額 540,006  
ふるさと納税による税額控除 495,908  
基本控除 49,800 (500,000円-2,000円)×10%
特例控除 446,108 (500,000円-2,000円)×(100%-10%-20%×2.1%)
差引住民税額 52,000 百円未満切捨